小型化と省エネ化は、現代のパワー・エレクトロニクス分野における最大のテーマでしょう。この二つの課題を克服するには、機器の中でもっとも消費電力の大きいアンプや電源を高効率化する必要があります。しかし、従来のリニア方式アンプは、消費電力が大きい、発熱が大きく大型の放熱器が必要、バッテリのもちが悪いなど、多くの欠点があります。この欠点を克服する電力増幅回路がD級アンプです。D級アンプは、パワー・デバイスをスイッチング駆動することで、80%を超える高い変換効率を実現します。この技術を利用すれば、放熱器の小型化や長時間のバッテリ動作が可能になるのです。本書は、D級アンプの設計テクニックと製作事例を集大成したものです。D級増幅段の回路設計法から、LCフィルタ、負帰還技術、市販の制御ICの使い方まで、実践で役に立つ知識を実験を交えながらわかりやすく解説します。
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