平安時代末期、平家の南都焼討ちによって東大寺などの大寺は灰燼に帰しました。その復興のため中国から渡来した石工の子孫は「伊」姓を名乗り、大和を中心に多くの優れた石造物を残しました。また、その分流は「大蔵」姓を称し、鎌倉や箱根に活躍の場を見出しました。本書では、彼らの活躍ぶりをその作品と共に見ていこうと思います。最初に中国から石工を招致したのが、東大寺大勧進の重源であったように、一流の石工が活躍する背後には常にその時代を代表する高僧がいました。本書では、石造物を通じて垣間見ることができる、当時の仏教社会の一端にも触れてみたいと思います。
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