「こちらはデイトン公爵よ」紹介された相手を見て、ヴェリティは激しく動揺した。記憶が瞬時によみがえる-10年前、デイトン公爵は社交界で放蕩者の浮き名を流していた。かねがね噂を聞いていたヴェリティの憧れの存在でもあった。そう、あれは公爵とちょうど同じ屋敷に滞在していた日、彼女が家の借金のために無理やり嫁がされる直前のことだ。最後の思い出にと意を決して公爵の寝室に忍び込んだのだった。長い時は流れたのに、彼は依然としてハンサムで魅力的だ。あの秘密は知られたくない…。彼女は娘を連れて逃げ出した。
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