本書は、逆問題について、工学的な方法で数値的に解くことにより解決をはかる立場をとっている。まず、さまざまな工学上の問題を支配する偏微分方程式を、有限要素法あるいは境界要素法で離散化する。これにカルマンフィルタといった、逆問題の数値解析に利点を有する方法を適用して、パラメータ同定を行う手段について詳述する。さらに、不均一な材料特性分布を推定する目的で、等価介在物法という、介在物を含む弾性体問題を解くための手段を援用する方法も紹介する。こうした方法は、応用力学分野全般に適用可能な方法である。本書では、ここで示した方法が工学の分野でどのように運用され、いかなる結果が得られるのか、おもに土木工学や機械工学の例をとりあげながら説明する。
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