本書は、著者ケルテースが、みずからのナチス強制収容所体験をもとに描き出した自伝的小説である。戦時下のブダペシュトで、主人公である14歳の少年は、勤労奉仕に向かう途中ユダヤ人狩りにあい、仲間たちとともにアウシュヴィッツへと送られる。かろうじてガス室を免れた彼は、やがてブーヘンヴァルト、そしてツァイツに収容されることになるが、そこで待ちかまえていたのは、想像もおよばぬ苛酷な現実だった…。人類に多くの課題を残した20世紀最大とも言える負の遺産を、無垢な少年のまなざしを通して描き切った、ノーベル賞作家の代表作。
「BOOKデータベース」より