1980年代、世界を席巻し、圧倒的な強さを誇った日の丸半導体。しかし、その後、CPUはインテルなどアメリカ勢に断然の差をつけられ、またメモリーはサムスンなどアジア勢に追いつかれてしまった。おかげで、どのメディアでも日の丸半導体は「衰退した日本の象徴」として、さんざんな扱いとなっている。だが、実は日本の半導体産業は全体としてはメチャクチャに強いのである。半導体を作る各種の基礎材料や、製造機械の分野では、世界を圧倒している。たとえば最も重要な材料であるシリコンウエハーは世界シェア8割を握るというすごみを見せつけているのだ。お家芸であったメモリー半導体でも、巨額の投資とともに起死回生の反撃に出ている。ハッキリ言おう。モノづくり王国ニッポンの伝統は、決してほころんではいないのだ。本書は半導体の現場に30年身を置いた記者が、その現状と底力を詳細に分析していく。
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