アレクサンドリア四重奏  4(クレア)

ロレンス・ダレル 著 ; 高松雄一 訳

時は経過し、あの都会も戦争の深い影に覆われている。島で暮らすぼくのもとに、ネッシムから、帰ってくるようにという便りが届いた。彼は空襲で負傷し、ジュスティーヌは軟禁されているという。すべての人間関係が変わっていた。不安な心がぼくの内部で北極星のように震えた。しかし、憐れみと欲望と恐怖のあいだで、あの都会がふたたび眼前に広がるのをぼくは見た。ぼくの記憶が仮面の人々を住まわせておいた、あの邪悪で美しい都会。かつて、そこをぼくはとても愛していたのに、踏みとどまるだけの気力がなかった。いまにして思えば、憎んでいたのかもしれない。永久にあの都会から立ち去り、その殻を脱ぎ捨てるためにも、ぼくはいま、再会しなければならなかった。アレクサンドリア、追憶の首都に-。

「BOOKデータベース」より

この本の情報

書名 アレクサンドリア四重奏
著作者等 Durrell, Lawrence
高松 雄一
ダレル ロレンス
書名ヨミ アレクサンドリア シジュウソウ
書名別名 The Alexandria quartet
巻冊次 4(クレア)
出版元 河出書房新社
刊行年月 2007.7
ページ数 401p
大きさ 20cm
ISBN 978-4-309-62304-7
NCID BA8260066X
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全国書誌番号
21350912
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言語 日本語
原文言語 英語
出版国 日本
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