夢と狂気と倦怠に支配された砂漠のリゾート、ウァーミリオン・サンズには、詩人や芸術家、映画スターや富豪が群れつどう。彼らは、住人の心を反映して自在に姿を変える向心理性の家で暮らし、音響彫刻や歌う草花を愛好していた。晴れた日には、砂上ヨットで砂鰾狩りや雲の彫刻を見物にラグーン・ウエストへと出かける。そこではコーラルDの雲の彫刻師たちが、色とりどりのグライダーで飛びまわり、白い積雲に一角獣や美しい映画女優の肖像を刻んでいるのだ…。イギリスSF界の鬼才バラードが、エキゾティックなリゾートを舞台に奔放な想像力と華麗な筆致で描く連作短篇集。
「BOOKデータベース」より