十五世紀末イタリア。群立する都市国家を統一し、自らの王国とする野望を抱いた一人の若者がいた。その名はチェーザレ・ボルジア。法王の庶子として教会勢力を操り、政略結婚によって得たフランス王の援助を背景に、ヨーロッパを騒乱の渦に巻き込んだ。目的のためなら手段を選ばず、ルネサンス期を生き急ぐように駆け抜けた青春は、いかなる結末をみたのか。塩野文学初期の傑作。
「BOOKデータベース」より
法王の息子というキリスト教世界での異端児でありながら、チェーザレは枢機卿にまで上り詰めた。しかし、その象徴である緋の衣を脱ぎ捨て、真の目標に向け進み始める。剣を手にした彼の野望は「イタリア統一」-父や縁戚フランス王の権威を背景に、自らの王国樹立のために権謀術数の限りを尽くした若者の鮮烈な生涯を描く。「毒を盛る男」と断じた歴史の評価に対し「マキアヴェリズムの体現者」「行動の天才」という新しいチェーザレ像を提示した、初期の代表作。初めて収録した著者自身による執筆当時の回想(メイキング)は、自伝とも言いうる内容で、塩野文学の核心を明かす好読物。
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