残忍な殺人者にも、肉親を想う優しい一面がある。殺したことの反省から、自ら死刑を望むこともある。しかしあなたは、そんな犯人の素顔をほとんど知らない。本書は、ある死刑囚の手記から描き出された殺人者の心の軌跡である。1975年、北九州市で四人を殺害した暴力団員川辺敏幸は、77年に死刑判決を受ける。しかし、彼は弁護士による控訴を取下げ、絞首台への道を選んだ。母一人子一人の不幸な幼年時代から、凄惨な殺害現場の模様まで。母親へのインタビューも加えた迫真の犯罪小説。佐木隆三の「隣りの殺人者」シリーズ第1弾。
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