博物館の元祖であるヴンダーカンマー(不思議の部屋)は、一六〜一八世紀ヨーロッパで盛んに造られた。そこにはいわゆる美術品、貴重品の他に、一角獣の角、人相の浮かび上がった石など珍奇で怪しげな品々が膨大に陳列されていた。それは、この世界を丸ごと捉えようとしたルネサンス的な一切智、万能主義のあり方を示しており、今日の細分化された学問の対極にあるともいえる。本書は、ヴンダーカンマーを再発見し、かつての愉悦に充ちた知を取り戻そうとする試みである。本邦初公開の珍しい写真・図版等を多数掲載する。
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