ニューヨークのある精神病院に三十過ぎの男が収容された。プロートと名乗るこの男は、自分は異星人だと主張する。七千光年はなれたK‐パックスから地球に旅行をしにきたというのだ。ブルーワー医師は、彼を多重人格障害および健忘症と診断した。ところが、彼は豊富な天文学・宇宙論の知識を持ち、またその不思議な魅力で他の患者の精神を回復させていく。そればかりか、病院スタッフ、そしてブルーワー医師までも彼と接することで忘れていたものを取り戻す。はたして、プロートとは多重人格者なのか、それとも本当に異星人なのか。ぽっと心が温かくなる、不思議な現代の寓話。
「BOOKデータベース」より