城南市は人口50数万、京阪神方面に通勤する人たちのベッドタウンとして発展した新興都市である。新しがりやの市長が、庁内の事務をコンピューター管理に切り替え、事務の簡略化に成功、最新式情報管理システムを誇っていた。その自慢の情報管理システムに狂いが生じた。始めは住民票や戸籍謄本の発行業務がおかしくなり、その為に自殺者が出た。次々にプログラムが破壊されるに致り、市役所はパニックに落ち入った。誰かが大型汎用コンピューターのデータバンクに侵入したのだ。やがて、ハッカーから五億円の要求が入り、奇抜な方法でそれをせしめた。ハッカーの姿は依然見えてこなかった。
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