女性、高齢者、子ども、外国人…。近代国民国家はいくつもの境界をつくりだし、私たちを分断している。社会に渦巻く不安と不満のはけ口として、弱者はつねにスケープゴートにされてきた。なぜ定住外国人の市民権獲得が阻まれるのか?家父長制に苦しむマイノリティ女性はどこに助けを求めればいいのか?境界に潜む差別と抑圧の構造を揺るがし、国民の呪縛によって硬直した自らのアイデンティティを問いなおすことなくして、ポスト国民国家時代の"共同性"はありえない。外なる差異と内なる差異を超え、ともに暮らす社会をめざす"解放"の思考が、ここにある。
「BOOKデータベース」より