本書は、戦後政治の流れを自民党支配の政治システムがさまざまな挑戦を受けて変貌を遂げてゆく過程として捉え、その軌跡を実証的なデータから浮き彫りにしようと試みたものである。一九六〇年代以降、保守政権は経済重視の政策をとり、日本は世界に類を見ない経済発展と政治的安定の両立を成し遂げた。一方、有権者は自民党政治の腐敗、行き過ぎをしばしば牽制し、バッファー・プレイヤーと呼ばれる日本独特の投票行動を生み出した。やがて中曽根内閣による新保守主義的改革、八九年の消費税導入などを経て、バブル崩壊後、地方への利益配分によって支えられてきた自民党システムの基盤は崩れ始める。その後も、自民党政権は他党との連立や小泉政権を誕生させることで生き延びるが-。著者の二〇年にわたる投票行動分析、実証研究の壮大な記録。
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