フリーター、ニート、パラサイト・シングル、ひきこもりといった若者の問題の解決が大きな課題となっているが、特効薬はない。問題の基底には現代日本社会がかかえる問題が横たわっているからである。それゆえ、対症療法に頼るのではなく、若者の問題の深層を探り、その根本に迫ることが重要である。本書の意図はここにある。ひきこもりを除き、フリーター、ニート、パラサイト・シングルといった問題は、社会学者や経済学者が積極的に発言しており、心理学者や精神医学者の発言は少ない。それは、今日の若者の問題は社会的な規定要因が大きく影響しているからである。そのため、本書は心理に注目しそれを解説するものであるが、社会的な背景についての説明もふんだんに盛り込んだ。この点は類書にない特色であろう。
「BOOKデータベース」より