近代化の過程で欧米への欠落感をバネにひたすら経済成長を追い求めてきた、その臨界点に誕生した東京ディズニーランド。それは、欧米文明と自国文化の狭間で奇形となった日本人の精神を癒してくれるヒーリング装置であり、「もう物質的にも文化的にも貧しくないわたし」を証明してくれる人工的なユートピア、キッチュの帝国である。「富士山信仰、東京(江戸)という都市、そしてアメリカ」-この三つの視点から、明晰な論理と明快な文体で、日本人にとっての新たな神話となった東京ディズニーランドという現象を読み解く、渾身の日本文化論。
「BOOKデータベース」より