『岬』『枯木灘』『千年の愉楽』『奇跡』『讃歌』『軽蔑』…旺盛な生成と破壊、変化と転生の末に、永遠に中断された中上健次の物語。「筆者が前提としたことはただひとつ、中上のテクストを矛盾なき体系として了解するということであった。彼が遺した厖大なる言葉を、その放棄中断も含めて厳密に読解の対象とすることが、求められている」。「中上との出会いが、わたしにおける書くことの始まりに決定的な意味をもっていた」という著者が、13年の歳月をかけて彼の作品宇宙を追跡しきった渾身の作家論=物語論。
「BOOKデータベース」より