平岩弓枝 著
俳人凌岱として、また画人寒葉斎としても名の知れた建部綾足には触れられたくない古傷があった。若き日の嫂清枝との密通の事実であった。兄、津軽監物は津軽藩国家老。流行り歌までに歌われて嫂は自害、綾足は国許を出奔した。女などというものは野分の風のような頼りないもの、嫂の体が自分をそそのかしたのだ。妻おこうの体つきが嫂とそっくりになっていくのに気が付いた綾足は、どうにも安心できなかった。同じ過ちを犯すのではあるまいか?綾足は妻を験してみたい欲望にかられたが…。
「BOOKデータベース」より
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