日本の伝統的美意識の象徴として、美しく描かれてきた舞妓像。しかしそれは本当の舞妓の姿を捉えているのか。美しく表現するだけでは、舞妓の本質を捉えたことにはならないのではないか。画家の中村正義(一九二四‐一九七七年)は、折角つかんだエリートの道を捨てて画壇の旧い体質と対決、こうして怪異な舞妓像を画き続けた。生涯、病気がちだった彼は、そのような舞妓に自らを重ね合わせ、さらに舞妓をあたかも仏画のごとく描くようになっていく…。異端の画家の生涯を見直し、舞妓像・仏画・風景画・顔の連作といったジャンルごとにその作品を解読する。初の入門書にして決定版。
「BOOKデータベース」より