本書は、戦後高度成長期(1955年〜73年)の労働問題を実証的に分析したものである。とはいっても、高度成長期の労働問題を全面的に分析しているわけではない。すでに数多くの研究が蓄積されている大企業の労働者については、ほとんど取り上げてはいない。本書で分析の対象としているのは、研究領域としてあまり日の目を見ることのないようないわゆる「底辺」、「下層」の人々である。それは、小規模小売業の労働者であったり、土木業のいわば「長期日雇」であったり、事実上の賃労働者である家内労働者であったりする。
「BOOKデータベース」より