長江を下る旅は、大河がもたらした文明の息吹を、歴史の現場で感じとる旅となるだろう。まずは「死せる孔明、生ける仲達を走らす」-三国志、諸葛孔明の大本陣、五丈原からはじめよう。天然の要害・剣閣、松露の道・翠雲廊、心ゆくまで三国志漬けの旅。さらに蜀の難所、古桟道をあゆみ、眼の突出した仮面文化、三星堆遺跡を経て、いざ、絶壁迫る奇観、山峡下りに挑もう。そして下流の南京、杭州、紹興で、王朝の興亡と革命のゆくすえ、歴史の断層をのぞきこもう。最後にイネのふるさと、河姆渡をたずね、長江は東シナ海へ出る。前著『中国 歴史の旅』で、黄河をさかのぼる旅から五年。中国大陸を流れる、二つの大河の文明を結びつける壮大な旅が、はじまる。
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