日本中世村落社会史の研究

蔵持重裕 著

本書は第一部で村の紛争解決の分析をすすめた。ここでは村地域と村落が古老法によって秩序づけられていることが確認できる。第二部では、開発と耕地の在り様を動態的に追ってみた。中世大田荘故地の近世初期の耕地の復原である。村落と百姓の家の関係を検討して、村落形成の動きと、百姓と村落との関係を追究したものが第三部である。各経営や各家族のユニット・結合としての村落ではなく、家の自立性とその外護者としての法人格の自立した村落が形成されてくる状況を究明した。第五部ではこれらを別角度から論じたものであるが、第四部は、こうした国家的村落という性格も、結局は人と土地との関係という、中世在地社会の基調によって彩られていることを示している。終論は、村落を全社会システムの中に置いた見通しである。

「BOOKデータベース」より

博士論文;博士論文

「国立国会図書館デジタルコレクション」より

[目次]

  • はしがき / p1
  • 第一部 荘園古老法-紛争解決の習俗
  • 第一章 太良荘の古老 / p18
  • はじめに / p18
  • 第一節 検断事件と訴・扱の分類 / p20
  • 第二節 公権力扱い事件と権限分担 / p26
  • 1 地頭検断権 / p26
  • 2 守護の検断管轄 / p30
  • 3 幕府・建武政府政府への訴の特質 / p36
  • 4 東寺検断権の実際 / p37
  • 第三節 公権力への訴のない事件の解決 / p46
  • 1 訴のない事件の解決 / p46
  • 2 古老・沙汰人 / p54
  • おわりに / p63
  • 第二章 中世古老の機能と様相 / p65
  • はじめに / p65
  • 第一節 性格-中世法と古老 / p68
  • 1 先例証言人 / p69
  • 2「古老」文言の性格 / p73
  • 第二節 機能-村地域と古老 / p76
  • 1 境界管理人 / p76
  • 2 地域法の番人 / p81
  • 第三節 様相-「荘園古老法」 / p86
  • 第四節 資格-古老と村 / p94
  • 1 浪人と住人 / p94
  • 2 社会的位置 / p98
  • 第五節 意義-古老法の背景 / p100
  • 1「荘園古老法」と惣掟 / p100
  • 2 古老の聖性 / p101
  • 第二部 景観と屋敷地化-住まい方の習俗
  • 序 / p108
  • 第一章 備後国大田荘故地赤屋村の耕地形態 / p111
  • 第一節 中世史料の中の赤屋村 / p112
  • 第二節 赤屋村の水利 / p129
  • 第三節 地名について / p132
  • 第四節 地積の動態について / p141
  • 第五節 小字の状況 / p145
  • おわりに / p152
  • 第二章 百姓屋敷と居住形態 / p154
  • はじめに / p154
  • 第一節 各家・屋敷等の概況 / p154
  • 第二節 居住形態の特徴 / p164
  • 第三章 武蔵国豊島荘故地豊島区域の中世景観 / p169
  • はじめに / p169
  • 第一節 豊島区域の水田の分布と水利 / p170
  • 第二節 豊島氏領域の水田分布と水利 / p175
  • 第三節 豊島区域の位置 / p179
  • 第四節 石造物と地域 / p181
  • 第五節 生活 / p185
  • 第三部 家と村落の存立-結合の習俗
  • 第一章 名主家族の結合と家の継承 / p192
  • はじめに / p192
  • 第一節 名主職の移動の原初形態 / p193
  • 第二節 相伝権としての名主職 / p204
  • 第三節 扶養共同体としての名主家族結合 / p212
  • 1 名主家族の結合形態 / p212
  • 2 名主兄弟の結合の性格 / p218
  • 第四節 家長権の相伝物の具体相 / p223
  • おわりに / p229
  • 第二章 村落と家の相互扶助機能 / p233
  • はじめに / p233
  • 第一節 村落の法人格 / p237
  • 1 番頭・職事の役割 / p237
  • 2 百姓中 / p242
  • 第二節 村落と諸衆 / p248
  • 1 古老と若衆 / p248
  • 2 惣寄合 / p254
  • 第三節 村落の構成単位と生活単位 / p257
  • 1 百姓のイエ / p257
  • 2 イエの自立と村落 / p260
  • おわりに / p264
  • 第三章 村落と家の中の女性 / p266
  • 第一節 問題の所在 / p266
  • 第二節 女性の悩みは何か / p268
  • 第三節 女性からの離別 / p274
  • 第四節 女性経営の土地の「仏物」売却 / p278
  • 第五節 村と女性経営の村落保障体制 / p288
  • おわりに / p299
  • 第四部 人と土地の結合-土地所有の習俗
  • 第一章 土地所有観と名田 / p302
  • はじめに / p302
  • 第一節 私領と処分権 / p304
  • 1 売券文言の構成 / p304
  • 2 私領呼称の機能 / p308
  • 第二節 人と土地の結合と権利 / p310
  • 1 土地処分の性格 / p310
  • 2 作手 / p317
  • 第三節 耕地売買と名田 / p321
  • 第二章 当知行-大慈恩寺の紛失状 / p331
  • はじめに / p331
  • 1 紛失状態の分類 / p332
  • 2 千葉氏の所領安堵 / p333
  • 3 鎌倉府の安堵 / p335
  • 4 永享十一年文書 / p340
  • 第三章 刈田狼藉の本源-日本中世における人と土地の関係 / p343
  • はじめに / p343
  • 第一節 刈田狼藉-羽下説の確認 / p346
  • 第二節 所務沙手続き違反 / p349
  • 第三節 旧領・由緒の破棄 / p353
  • 第四節 本源的所有 / p356
  • おわりに / p362
  • 第五部 百姓と訴訟-闘争の作法
  • 第一章「百姓申状」の性格について / p364
  • はじめに / p364
  • 第一節 百姓申状の形式と内容 / p365
  • 1 形式 / p365
  • 2 要求と訴 / p367
  • 3 申状と時代 / p368
  • 第二節 本所法と百姓申状 / p370
  • 第三節 署名と起請文 / p375
  • おわりに / p378
  • 第二章 稲垣泰彦著『日本中世社会史論』について / p379
  • はじめに / p379
  • 第一節 本書の内容 / p381
  • 第二節 検討 / p383
  • おわりに / p395
  • 第三章 村と家の成立をめぐって / p398
  • 一 成果 / p398
  • 二 苗字 / p399
  • 三 村の成立 / p400
  • 四 村の移行 / p401
  • 五 家 / p402
  • 終論 年貢と村落と-中世社会論 / p405
  • 初出一覧 / p415
  • あとがき / p417
  • 索引 / p428

「国立国会図書館デジタルコレクション」より

この本の情報

書名 日本中世村落社会史の研究
著作者等 蔵持 重裕
書名ヨミ ニホン チュウセイ ソンラク シャカイシ ノ ケンキュウ
出版元 校倉書房
刊行年月 1996.11
ページ数 428p
大きさ 22cm
ISBN 4751726501
NCID BN15534547
※クリックでCiNii Booksを表示
全国書誌番号
97051146
※クリックで国立国会図書館サーチを表示
言語 日本語
出版国 日本
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