中央アメリカの歴史を知る時、私たちは人間として、そこに展開された不条理な近現代史を生きた人びとの苦悩を思う。既成の政治制度は頽廃をきわめ、外部からの干渉は政治・経済・軍事・文化などあらゆる社会生活の局面で絶えることなく繰り返される。合法的な抵抗の道をすべて閉ざされた無一物の民衆は武器を手にせざるをえなかった。これが、この地域の20世紀の歴史を貫く現実であった。だが時代状況は変わり、ゲリラの時代は終わった、と言う。それは武装闘争を引き起こした原因が解決されたことを意味するのだろうか?中米の民衆的たたかいの共通する因子である貧富の格差・非民主主義・人権抑圧などは終わりを告げたのだろうか?本書は、その問いに答えるために、小さな中米の国々の「禁じられた歴史」に耳を傾けようとする。
「BOOKデータベース」より