中沢志保 著
原爆の出現は歴史を核以前・核以後に二分する出来事であったが、この二つの時代の間で運命を引き裂かれたオッペンハイマーは、現代の科学者の象徴といえる。原爆の完成によってヒーローとなり同僚の拍手に両手を挙げて応じた男が、数ヵ月後には「私の手は血で汚れている」と震えた。科学者が抱くこの最大級の矛盾を核の国際管理を構想することで解決しようと試みた彼は、水爆開発に反対し、赤狩りの渦中で公職から追放された。
「BOOKデータベース」より
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