本書は、タルコフスーの全作品(学生時代に撮影した一本の習作を除き)を詳細に分析することで、監督の一貫したテーマを探し出す試みである。監督のスタイルだけを分析するものではなく、評伝的な細部にのみこだわるのでもなく、かといって物語と人物像の分析に終始するのではない。それらがバランスよくまとまり、結果タルコフスキーがなにを考えて作品を作っていたか、に即して記述されている。そのようなプロセスをいまかりに理解、と呼ぶならこの小著は間違いなくタルコフスキーのひとつの像を理解する道を示してくれている。
「BOOKデータベース」より