本書は、家族療法を代表するマスターセラピストたちが、自身のケースの全過程にわたって、その中で実際に起こったさまざまなことがら-導入時の考え方と介入、またがいや見落しなどの失敗、予想しなかった出来事、迷いや悩み、治療者の助けとなったこと、そして治療の成果と予後-を面接記録に基づいて包み隠さずに披露したものである。治療過程を治療者とクライエントの両者を含むシステムの過程ととらえ、治療者側に焦点を合わせることでそれぞれの執筆者の理論と技法を浮彫りにした本書は、多様な家族療法の流派を統一的に理解する礎となる事を目指したものであるが、家族療法家ばかりでなく、あらゆる臨床家にとって限りない示唆を与えるものである。
「BOOKデータベース」より