一般に、医学および医学に関する学問は、帰納的推論体系に基づいて展開されている。本書においても、物理、生物、臨床の各領域から、基礎となる最新の理論を取り入れている。しかしながら、本書の最大の特徴は、その理論の展開に関し、できるかぎり実務に添うように考慮した点である。がんに対する原因治療が存在しない現時点において、放射線治療の果たす役割は少なくない。本書は、この差し迫った現実に対したとき、どのように優れた理論であれ、実用化できなければ空論にすぎないという前提に立っている。
「BOOKデータベース」より