ロンドンで書店を経営するレイチェルは、過去の愛の傷を負い、情熱に溺れることを自らに禁じて生きてきた。彼女を惹きつけてやまない、会計士リヴィングストン夫妻の穏やかだが、富裕ゆえの憂鬱にみちた生活。そして、その一人娘ヘザーの奔放な生き方。気まぐれに愛を追うヘザーに翻弄されるうち、レイチェルは、孤独な自身の人生の問いなおしを追られてゆく。ヘザーを追って、水の都ヴェニスへ飛ぶレイチェルだが…。別人になりたいと願いつつ、けっしてかなわない哀しみと焦燥-。新しい文体に挑むブルックナーの意欲作。
「BOOKデータベース」より