50年まえのこと、九州の片田舎(熊本県球磨郡須恵村)に若いアメリカ人夫妻が住んでいた。ジョン・エンブリーといい、シカゴ大学から派遣された人類学者で、日本農村の社会構造や日本人の性格、行動規範を調査するためであった。その成果は、Suye Mura,A Japanese Village(1939)として刊行され、日本研究では必読書の一冊として、ひろく世界の人びとに読まれている。本書は、三部から成っているが、「写真民族誌」は、彼がフィールドワークと並行して撮影した写真をとおして、Suye Muraの内容をより視覚的に再現し、さらにその後、須恵村がたどった農業経済の構造的変動、村民の社会生活・価値観等の変容過程を著者の追跡調査の成果と写真を使ってモノグラフ風にまとめたものである。
「BOOKデータベース」より