19世紀、多くの産婦の生命を奪った恐しい熱病=産褥熱の予防法がゼンメルワイスにより確立されながら、それが広く実施されるには実に半世紀の歳月を要した。それは彼の発見を認めぬウィルヒョウら、時の権威者やそれに追従する保守的な医療体制の集団的抵抗に妨げられたからである。医学・医療のめざましい発展により平均寿命が大幅にのびた現在、なおスモン、サリドマイド禍、血液製剤によるエイズ感染など、医療被害があとを絶たないのはなぜか。史実を踏まえながら医療被害がくり返される根本的原因を追究し、民衆の力による自らの医療改革を訴える。
「BOOKデータベース」より