学力の衰退はおおいようのない事実です。学習に追い立てられ、時間的にも、量的にも子どもの学習は増大していますが、知的成熟は弱く、知的水準は低下しています。社会をみる水準などは、予想以上にひどいものでありましょう。これは、単なる学力向上の問題では克服しきれません。学ぶ力をどうつけるのかが、基本的に問われているのです。ここでは、子どもの学習の基本構造となるところに分析の視点を据え、そこで思考、認識、能力、技術がどう修練され、それが学習の飛躍をつくり出す要素として、どのように熟成されていくのかを検討してみたいのです。とりわけそれが、今日の能力主義による学力構造の中で切り落とされていることの重大さを、事実と検証で説き明かしてみようと考えたのです。
「BOOKデータベース」より