複雑神秘の精神の世界、その病いに対して、精神科医はいかなる方法的規準を持つのか。本書は、人間の精神の働きに対する哲学・心理学・社会学等の議論を展望しつつ、精神医学の明確な座標軸の構築をめざす。独倉的な精神分裂病論として知られるファントム理論を世に問うた著者が、方法論の基盤とする哲学者ウォーコップの考え方を読みときつつ、その精神医学の思想を明らかにし、現代精神医学の最大の主題である言語問題について考察する。ファントム理論のエッセンス、即ち分裂病の「幾何学」的構図を鮮やかに描き出し、「精神の科学」の方法に一石を投じる。
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