「猫」が描いてみせる苦沙弥先生とその一党の言動は名人の落語さながらに我々の哄笑をさそってやまぬ。だが読み進んでゆくとそんな笑いと笑いの合い間にひどく真面目な、いや恐ろしく深刻なくだりのあることに嫌でも気づかされる。それは漱石がいち早く生きた近代日本の暗部の反映に他ならなかった。
「BOOKデータベース」より
猫を語り手に苦沙弥・迷亭ら太平の逸民たちに滑稽と諷刺を存分に演じさせ語らせたこの小説の特徴は溢れるような言語の湧出と歯切れのいい文体にある。
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猫を語り手に苦沙弥・迷亭ら太平の逸民たちに滑稽と諷刺を存分に演じさせ語らせたこの小説の特徴は溢れるような言語の湧出と歯切れのいい文体にある。この豊かな小説言語の水脈を発見することで漱石は小説家の道を踏み出した。
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