本書は、「砂漠の狐」として知られたエルヴィン・ロンメル元帥の遺稿。ロンメルは、1943年にアフリカ戦線の指揮を解かれたのちも、イタリア戦線の視察、さらにはフランスにおいてB軍集団司令官として来るべき連合軍の上陸作戦に対応するための準備作業を進めるなど、多忙な日々を送っていた。その間、わずかな時間をみては、アフリカ戦線の経験をつづった回想録を執筆していたのだった。1944年、ヒトラー暗殺計画に加担したかどで、ロンメルは服毒自殺を強要され、この回想録も未完となった。しかし、ロンメル回想録という歴史的な資料を眠らせておくにはいかないと、かつてその参謀長を務めたフリッツ・バイエルライン将軍とルチー=マリア未亡人が遺された原稿を整理し、解説を付して、1950年に上梓した。しかし、本書は、日本においては、ほとんど存在さえ知られていなかった。当事者が歴史をかたる、極めて重要な資料である。
「BOOKデータベース」より