本書は、日本においてこれまで展開されてきた農業簿記が、なぜ農業経営の発展や競争力強化に資することができなかったのかを問うものである。これまでの農業簿記は、なぜ、TPP等のいわば外圧がかかる以前に、簿記を前提とするならば当然行き着くはずである原価の問題等を契機に、競争力強化という新たな視座を、内生的・自発的に日本の農業界に持ち込むことができなかったのであろうか。本書ではこの疑問に対して、ヒアリング調査・文献調査を通じて、戦後における農業簿記を3つに分類したうえで、日本においてこれまで展開されてきた農業簿記の問題点を浮き彫りにしている。
「BOOKデータベース」より