一九六〇年代末に文学批評家としてデビューした著者の今日にいたるまでの全文学評論から、著者自身が精選改稿した一二篇を収録。冒頭には各作品を解説する序文をあらたに付す。『アレクサンドリア・カルテット』を論じた六七年の修士論文から、漱石『文学論』について語った二〇〇五年の講演まで、著者の文学的営為の全体像が一望のもとに。ダレル、シェークスピア、鴎外、漱石、四迷、安吾、、泰淳、島尾敏雄、中上健次らのテクスト読解を通していくつもの「可能性の中心」が導き出される。思想家柄谷行人の原点を知るための決定版。
「BOOKデータベース」より