改革開放政策が中国にもたらしたのは、富だけではない。人々の権利への目覚めも、その必然的な産物である。1990年代以降、多様な領域で繰り広げられている権利侵害に対する抵抗と要求-それが維権運動である。メディアや知識人が加わって全社会を舞台に展開されるようになった維権運動は、次第に市民の基本的権利を求め、新たな制度構築を要求する運動へと変容してきている。そこには新たな国家-社会関係と、ボトムアップ型の政治参加の実態が垣間見られる。様々な領域における維権運動を綿密に分析し、運動が形成されるプロセスとメカニズムを解明することから、現代中国社会の変化とその政治への影響を論ずる。
「BOOKデータベース」より