境界性パーソナリティ障害(BPD)は、精神科領域において最も困難な対象として、治療者を悩ませることで知られる。本書は、著者長年の経験をもとに、臨床現場からフィードバックしたBPD治療のコツを解説したものである。認知行動療法、物語論的アプローチ、問題解決療法、ロールプレイの技法など、最新の治療アプローチを詳述し、さらにBPDに多く見られる、自傷行為、摂食障害、大量服薬、性的乱交などへの対応についても述べている。さらに、治療者‐患者関係の暴力や患者の怒りの扱い、転移‐逆転移関係、治療抵抗性、など、治療プロセスに生ずるさまざまな問題にもふれている。後半部においては、BPDとの合併症として多く見られる離人症について、症状論、病型、家族背景、神経心理学的考察を展開し、行動療法、第三世代認知行動療法を中心とした治療アプローチを紹介する
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