「昔はワルだった」と自慢するバカ

小谷野敦 著

ルソーの著作もアウグスティヌスのものも、明治・大正期には『懺悔録』というふうに翻訳された。悪いことをした昔を、人々の前に告白して、許しを乞い、今は後悔して清らかな生活を送っています、というわけだ。しかし、考えていくと、この「昔はワルだった」というのは、男の世界で、良くざんげ話のつもり(ふり)の自慢話として使われるのである。いくら何でも、アウグスティヌスが、自慢話のつもりで書いたとか、その無意識には自慢があった、とは言わないが、のちにこれを「輝ける悪徳」と呼んだ者がいたらしい。そして、私はこういう「昔はワルだったぜ自慢」というのが嫌いなのである。非常にそれは「男の子っぽい」ことで、私は自分が「ワル」だったことがないから、不快を感じるのである。けれど、それは少し羨ましいからかもしれない。

「BOOKデータベース」より

[目次]

  • 悪人志願-「悪」と「俗物」をめぐって
  • 第1章 「俺も昔はワルだったぜ」の系譜(「女を泣かせた自慢」の文学
  • 「色悪」の文化 ほか)
  • 第2章 「悪とはなにか」とは何か(「凶悪殺人犯」と「悪人」はイコールか
  • 「犯罪小説」の落とし穴 ほか)
  • 第3章 「俗物」とは何か?(誰もが、ある種の「俗物性」を有している
  • 俗物がこだわるステイタスの在り処 ほか)
  • 結語 いつか悪になる日まで

「BOOKデータベース」より

この本の情報

書名 「昔はワルだった」と自慢するバカ
著作者等 小谷野 敦
書名ヨミ ムカシ ワ ワル ダッタ ト ジマンスル バカ
シリーズ名 ベスト新書 349
出版元 ベストセラーズ
刊行年月 2011.11
ページ数 191p
大きさ 18cm
ISBN 978-4-584-12349-2
NCID BB07670760
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全国書誌番号
22012643
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言語 日本語
出版国 日本
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