1960年代初頭に、オークションとマッチングについての萌芽的研究がなされた。それから約半世紀、これら両理論は経済学における強力な分析ツールとして成長し、実際的な制度設計問題に対処する、ひとつの学問領域として分類されるまでになった。本書でマーケットデザインと呼ぶのがそれである。実用テーマの例には、国債オークションや周波数オークションなど、経済学と比較的馴染みのあるものから、腎臓ドナーマッチングや学校選択マッチングなど、これまで経済学と縁が無かったものまできわめて幅広い。本書はそうした応用を念頭に置きつつ、マーケットデザインの理論について入門的な解説を行う。解説に際しては、なぜそれを行うのかというモチベーションを重視するとともに、平易な例に基づく直観的な理解を優先する。
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