幕末維新の立役者と讃えられ、多くの信望を集める西郷隆盛。しかしその実像には、無謬の英傑あるいは完璧な人格者とは言い難い一面もある。「無私と野心」「勁さと弱さ」「度量と狭量」など、一見矛盾とも思われるその内面や行動の二元性、相対性に着目。平板な英雄像を超えた人間西郷をあぶり出す。特に、南島での辛苦、故郷の山河との対話の日々など「野」の時期に光をあて、さらには、西郷が残した二百首に及ぶ詩を手がかりに、これまで語られることのなかった素顔に迫る。新たな西郷像を提示した渾身作。
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