東京の中心にある「空虚な空間」皇居前広場。「日本人」なら誰でも知っているこの広大な広場は、しかしもう半世紀以上もほとんど使われていない。かつての、日本で最大の政治空間から、忘却された空間へというその変容は、なぜ起こったのか。ここを定点観測点として見えてくる「明治」「大正」「昭和」、そして戦後占領期や戦後独立期の思想状況とは。当時の新聞・雑誌、日記や回想録、小説、映像、書簡などを駆使して、政治空間としての「皇居前広場」から近現代の思想史を追い、近代天皇制における「視覚的支配」の実態に迫る意欲作。文庫化に当たり天皇制と音楽をめぐる補論を増補。
「BOOKデータベース」より