オーラル・ヒストリー(聞き取りによる調査)は、意思決定過程を分析する研究手法として政治学(政治家や官僚など)や経営学(企業経営者)の分野において、1990年代以降実践され、それまでブラックボックスとなってきた政府や企業の実態を明らかにする上で大きな成果をあげてきている。しかしそれは性質上、聞き手と語り手の相互作用によって強く規定されるものであるために、その方法は聞き手の個人技とされ、普及が立ち後れてきた。このような状況を打破すべく編者らは、講義+実習+成果作成というカリキュラム構成によって、基礎技術の習得と実践を目指す「オーラル・ヒストリーの学校」を立ち上げ、学としてのオーラル・ヒストリーを確立するにいたった。本書は、経験豊富で最高水準の技量を有する講師たちによる、そのためのテキストとして、他に類をみない価値を有する講義の記録。
「BOOKデータベース」より