英国を代表する精神分析家ウィルフレッド・R・ビオン。本書は、ビオン自身がケースを提示しつつ、精神分析と精神病理論について書いた8本の論文に、自らが再び思索を深め、Second Thoughts、詳しく解説を加えたものである。フロイトからクライン、そしてビオンへと続く系譜は、対象関係論を支えてきた流れであり、今日の精神分析を理解するうえで、ビオンの存在はあまりにも重要なものとなっている。しかし、ビオンは、多くの精神分析理論に関する書籍を残しているものの、自分のケースを提示し、論文の形式で論考したものは、本書『再考』以外には存在しない。『再考』には、実際のビオンのケースの様子が垣間見られ、そこからいかにして後年の精神分析理論が広がっていったのか、その萌芽を見ることもできる。
「BOOKデータベース」より