戦争は、一応の戦後処理が終わった後にも、その後の歴史に大きな、かつ持続的な影響を与えずにはおかない。しかも敗者の場合には、しばしば<勝者=正義、敗者=悪>という勝者による事後の正当化が加わるために、「戦後」の克服はいっそう難しい。私たちがまさに「戦犯裁判」や「靖国問題」などで体験しつつあるように、過去(=戦後)が現在を支配し続けているのである。ナポレオン戦争の敗者フランス、第一次大戦の敗者ドイツのそれぞれの戦後を、日本の場合と比較し、矛盾と混乱に満ちた「戦後」という特殊な時代を整除し「普遍化」する文明史の画期的な試み。
「BOOKデータベース」より