二十世紀初頭の文学に衝撃を与えた作家ジャック・ロンドン。彼の生涯はその作品同様、激動と波乱に満ちたものだった。十五歳で海賊まがいの生活に飛び込み、幾多の放浪と冒険を経て、社会主義者となる。そして社会が目を背けてきた人間の冷酷さ、醜悪さに正面から向き合い、人間がもつ逞しさにあふれる小説を発表し、アメリカの国民的作家へと成長してゆく。しかし私生活では、つねに孤独にさいなまれ、彼が心から望んだ温かい家庭はついぞ手に入ることはなかった。ありあまる冒険心と創作欲に駆られるままに自らを極限まで燃やし尽くした一人の男の生涯。
「BOOKデータベース」より