学問の「客観性」とはどういうことか?人は善や美を生きるが、善や美の根拠は何か?そうした根源的な問いを確かめ、共有していくための「方法」をフッサールは打ち立てた。そしてそれは、近代哲学の歴史のなかで鍛えられた「主観」へと立ち戻って思考する方法の極限のなかから生まれたものである。フッサールの現象学を徹底的に読みなおし、その核心である"実存的世界"と"客観的世界"とのつながりを解明する。日々を生きるふつうの人びとのなかに思想する営みをよび戻し、考えあうことへの希望と信頼をふたたび提起する渾身の論考。
「BOOKデータベース」より