明治中期の信州長野における、当時の小学校教育の実態はどんな様子だったのだろうか。そして、忘れられた一地域の学校の歴史からどんなことが見えてくるのだろうか。本書は、長野県北部に位置する中野市日野地域の学校を調査対象として、残された文書史料群をもとにその全体像を詳細に描き出そうと試みたものである。学区会の形成/校地と住民/地域の子どもたちの「学力」/小学校の試験制度とその実態/就学率・卒業率の実態/教案に関する考察/「御真影」の下付/「一市一校制」論、等というテーマからは、学校を支えた地域の人々の活動・組織や思想、小さな地域における学校の教育内容・方法・評価の普遍性と個別性とが、浮かびあがってくる。
「BOOKデータベース」より