「自由だからこそ、人は権力にとらわれていく」「自由でないことが問題なんじゃない、自由であることが問題なんだ」-そういった直感を、学問というフィールドで表現することはかなり難しいことでした。いくら理屈を積み重ねてもなかなか周囲の人に理解してもらえず、自分は何か決定的な思い違いをしているんじゃないか、そう思うこともありました。そういう試行錯誤を二〇年近く繰り返してきたわけですが、それだけ年を重ねると最初は直感でしかなかったものの姿も、かなりクリアになってきたように思います。この本は、そうやってみえてきた姿を、できるだけわかりやすく説明しようとした結果の産物です。
「BOOKデータベース」より